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今こそ真のガバナンスを (亀田総合病院長 亀田信介) 2018/11/01

亀田総合病院長
亀田 信介

日本の医療経済は、基本的には計画経済、統制経済システムで動いています。敗戦で焼け野原となった日本が、その後高度経済成長と人口増加の時代に入り、現在の医療制度をはじめとした社会保障制度が作られました。人口が右肩上がりに増加した時代には、これらの制度は国民にとっても国家にとってもメリットがあり、日本の平和や発展に大きく寄与してきたと考えられます。

しかし最近は経済的な低成長が続き、50年近くにわたる低出生率に伴い人口も減少に転じました。太平洋戦争の終戦直後(1946年)に起こった第1次ベビーブームでは1年間に約270万人の子供が生まれましたが、2017年の出生数は94万人まで減少し、2019年には90万人を切ると予想されています。加えて戦後70年で30歳以上伸びた平均寿命による高齢化率の上昇は、医療費や年金をはじめとした社会保障費の急激な増加をもたらし、システムを根底から揺るがしかねない状況となっています。

今の制度をこのまま続けたら、子育て世代の若者に大きな経済的負担としてのしかかり、少子高齢化にさらに拍車がかかる悪循環に陥りかねません。

このような人口の変化に加え、高額な薬剤や治療方法の開発、更にはゲノム解析の進歩による個別型医療の発達などにより、医療制度は、小手先ではなく抜本的なコンセプトの見直しと、現状にあった合理的な制度改革を迫られています。しかし、自らの既得権益を守り変化を嫌う行政がスピード感を持って対応できるはずもなく、しわ寄せは現場に重くのしかかっています。このような状況において、特にアクティブに活動している高度急性期病院の経営は厳しく、当院も例外ではありません。

現場のことは現場が一番よく解っています。すべての職員が経営参画意識を持って、アイデアを出し合い実行すれば大きな変革につながり、モチベーションの高い活気ある強い組織になることができるでしょう。そのためにはイコールパートナーシップという概念の基、あらゆるデータや情報を共有し、自由な議論が活発に行える透明性、公平性の高い組織風土作りが不可欠です。それぞれの役割に応じた権利や義務は当然存在しますが、ポジションによって偉さが決まるわけではありません。自分の役割を高いレベルで果たすこと、更に上を目指してチャレンジし向上することが評価されるべきです。

経営的にはトップマネジメントにより戦略が立案され、その目標を達成するための活動から組織目的が達成されるという流れをつくり、さらに適切に運営されているかを評価しなければなりません。ガバナンスという言葉がよく使われますが、本来は組織の利害関係者(経営者、職員、取引先等)の主体的な作用による意思決定、合意形成のシステムを意味します。つまり、政府が上の立場から法的拘束力で行うガバメントとは対照的な、いわば「自治」に近い概念といえます。医療が知的労働の集約産業であるとすれば、ひとり一人が秘めている高いポテンシャルを引き出すマネジメントが行われる必要があり、ガバナンスの役目はその一点に集約されるといっても過言ではありません。今こそ真のガバナンスを作り、明るく楽しい、モチベーションの高い組織を目指したいと思います。

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