ページの先頭です

お知らせ

安房の医療を今こそ考える (亀田総合病院長 亀田信介) 2017/11/01

亀田総合病院長
亀田 信介

少子高齢化、若年人口減少が進む中、国は第7次医療計画において、地域医療構想策定を都道府県に指示しました。千葉県も国の定める地域医療構想策定ガイドラインに沿い進めており、9つの構想区域が設定されています。

最も多くの人口を抱えている東葛南部区域では170万人を超えている一方、最も人口規模の小さい安房区域は13万人と1/10以下で、今後さらに急激な人口減少が予想されています。このような全く規模や環境の違う構想区域では、それぞれの抱える問題点が全く異なるため、国は地域医療構想の実現プロセスとして、まず、医療機関が「地域医療構想調整会議」で協議を行い、機能分化・連携を進めること。地域医療構想調整会議での協議を踏まえた自主的な取り組みだけでは機能分化・連携が進まない場合には、医療法に定められた都道府県知事の役割を適切に発揮するように求めています。

安房区域の問題点に目を向けてみますと、鴨川地域とそれ以外の地域の医療資源格差問題の解消や、鴨川国保病院、富山国保病院、鋸南国保病院の老朽化、人材不足、経営難等、早急に解決しなければならない問題が山積しています。しかしながら、これらのプロセスを全く無視し、突然鴨川市立国保病院(以下、鴨川国保)の建て替え計画が発表されました。予算は20億円以上です。

現在鴨川国保は70床の許可病床を持っていますが、医師や看護師不足、ニーズの減少により稼働率は60%を切った状況が続いています。公立病院の経営問題は国家にとっても大きな問題であり、総務省による新公立病院改革ガイドラインでは、経営が悪く特に病床利用率が過去3年間連続して70%未満の病院については病床数の削減、診療所化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しなど抜本的な見直しを検討すべきとしています。

鴨川国保は毎年約5千万円の交付金が補助されながら、8千万円を超える累積損失を抱えています。病床利用率は数年間にわたり60%を切っており、総務省のガイドラインでは、明らかに抜本的な見直しをすべき医療機関に当てはまります。

千葉県は県北を中心に急激な高齢化による医師・看護師の不足がさらに悪化すると予想されており、鴨川国保が今後、医師・看護師を確保・増員することは非常に困難と考えられます。また現在約7億円の年間総収入の病院に対して、20数億円の投資をすることの将来リスクは非常に大きく、その責任を誰がとるのでしょうか?結局市民がそのツケを払うことになるのは明白です。実際、銚子市や東金市をはじめ多くの自治体が病院経営で苦しんでいます。

まずは、安房区域の問題点を客観的に捉え、地域医療構想調整会議での十分な議論や地域医療連携推進法人の設立などにより、地域のニーズにあった質の高い地域包括医療の提供を、確実にリスク無く行うシステムを模索すべきではないかと考えます。現実的には鴨川市、南房総市、鋸南町、太陽会(館山市)で地域医療連携推進法人を構築し、地域の特性や医療機関の実態を踏まえ、将来を見据えた機能の見直しと連携の強化を図るべきと考えます。

  1. HOME
  2. お知らせ
  3. トップメッセージ
  4. 安房の医療を今こそ考える (亀田総合病院長 亀田信介)