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お知らせ

合理性のある社会システム作り (亀田総合病院長 亀田信介) 2017/05/01

亀田総合病院長
亀田 信介

看護師の増員により、今年度から念願の7対1入院基本料に移行することが可能となりました。経営的には改善が見込めますが、なぜ看護師の数だけが入院基本料に反映され、医師やコメディカルの数が反映されないのでしょう。

現代医療は、さまざまな専門職種の協業によるチーム医療で成り立っています。当院がなぜ10対1看護で国内トップクラスの高度急性期医療を実践できたのか、それを可能にしたのがまさにチーム医療です。薬剤師、臨床検査技師、リハビリなどの専門職集団が、自分たちの専門性を生かし協働することにより、より質の高い医療サービスが可能となります。

亀田メディカルセンターの職員数は3,000人近くに上り、医師は500人を数えます。この数は、国内同規模の医療機関と比較してもかなり多い数字です。看護師の数だけ7対1基準を満たしても、医師が非常に不足している病院はたくさん存在します。そうした病院が本当に質の高い急性期医療をできるのでしょうか?細かい基準よりも、救急入院数や手術数、退院患者数といった実績に基づいた成果評価を行うべきではないかと考えます。

重症度、合併症、病期、年齢等多くのことを考慮する必要はあるにせよ、疾病ごとの入院評価を基本とすれば、医療者はより効率的で質の高い医療サービスを模索するでしょう。急性期医療は多くの場合初期の数日間に圧倒的な医療資源を必要とします。従って短期集中型の診療プロセスとそれを可能にする要員配置が行われることになり、平均在院日数は大幅に短縮され、急性期病床数の規制なども必要なくなるでしょう。余った急性期病床は、自然に今後の不足が予想される亜急性期病床や介護系施設に転換されると思います。

では、さらに踏み込んで「療養型医療」というカテゴリーは必要でしょうか?長期療養型医療施設に入院している患者さまと老人保健施設や特別養護老人ホームの入所者の方では、身体的な状態や必要とされるサービス、入院適応が明らかに違うのでしょうか?実際、長期療養型医療機関で感染症などに対する一般的な医療行為を行うと、経営的に成り立たなくなってしまいます。もはや既得権によるわかりにくい施設類型をやめ、スキルドナーシングホーム (※)のような介護施設に統一し、医療と分業する方が効率が良いのではないでしょうか。

必要なときに医療機関と連携し、必要な医療サービスを施設内で提供できれば、これまで以上の医療サービスを提供することが可能となり、急性期病院から施設への早期退院や、施設から急性期病院への入院減少につながるでしょう。当然のことながら、医師はより必要とされるところで働くことになります。

このように、合理的な理論に基づき、医療・介護のみならずさまざまな社会制度を、抜本的に見直すことが急務です。急激な長寿化、人口減少、少子化、IT技術、人工知能、ロボット技術、どれひとつをとっても第1次産業革命に引けをとらないインパクトを社会に与えます。それらがまさに同時に起こっているのですから、これまでの延長線上に答えがないのは当たり前ではないでしょうか。

看護や介護が必要な高齢者等に対し、医療・介護双方のサービスの提供をする施設のこと。
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